重要な潜在的リスク

悪性腫瘍

臨床試験において、非黒色腫皮膚癌及び皮膚以外の悪性腫瘍が報告されています。本剤との因果関係は明確ではありませんが、悪性腫瘍の発現に注意してください。

対処法

本剤を投与する前に、悪性腫瘍のリスク増加の可能性があることを患者に説明してください。悪性腫瘍の発現が認められた場合は、専門医へ紹介してください。

注意事項

特に悪性腫瘍が確認されている患者、投与中に悪性腫瘍の初期症状が認められた患者、及び喫煙者又は過去に喫煙歴のある患者では、本剤の投与開始前に個々の患者のベネフィットとリスクを考慮してください。

臨床試験における悪性腫瘍の発現状況

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の統合解析において、本剤との関連ありと判断された悪性腫瘍は認められませんでしたが、有害事象として、投与開始から52週までに本剤投与群(969人・年)でリンパ腫1例を含む悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)が0.2%(0.3/100人・年)に報告されました。国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)の日本人集団において、悪性腫瘍の有害事象は認められませんでした。また、国内第Ⅲ相オープンラベル試験(IM011-066試験)においては、尋常性乾癬患者において、悪性腫瘍は認められませんでしたが、乾癬性紅皮症患者においてホジキン病が1例認められました。

なお、一般的な乾癬患者やレジストリでの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は0.4~2.3/100人・年と報告されています1)、2)

※悪性腫瘍は、事前に規定したMedDRAの基本語リスト(器官別大分類の「良性、悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)」に含まれるPTの一部であるSMQ「悪性腫瘍(Malignant tumors)」)を用いて集計した。

1)Kimball AB, et al.: Br J Dermatol. 2015;173(5):1183-1190.
2)Reich K, et al.: Arch Dermatol Res. 2015;307(10):875-883.

心血管系事象

心血管系事象に関する注意事項と対処法

中等症から重症の乾癬は心血管系(CV)事象のリスク因子であり、CVリスク因子の有病率が高いことが示されています3)、4)。本剤投与と心血管系事象との関係は明らかでないものの、臨床試験において本剤投与群で心血管系事象の発現が認められています。十分な観察を行い、心血管事象の発現に注意してください。異常が認められた場合には、適切な処置を行ってください。

臨床試験における心血管系事象の発現状況

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の統合解析(投与開始から52週まで)において、心血管系事象の副作用は、本剤投与群で1例(心筋梗塞)、アプレミラスト群で1例(心筋梗塞)に認められ、プラセボ群では認められませんでした。本剤群及びアプレミラスト群で心筋梗塞が認められた患者においては、CVリスク因子として、前者は肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などを、後者は高血圧、高脂血症、喫煙歴などを有していました。

なお、国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)の日本人集団及び国内第Ⅲ相オープンラベル試験(IM011-066試験)においては、心血管系事象は認められませんでした。

※ Extended MACE(定義:CV事象による死亡並びに非致死性の心筋梗塞及び脳卒中+入院を要する不安定狭心症)として集計した。

3)Mehta NN, et al.: Eur Heart J. 2010;31(8):1000-1006.
4)Hu SC, et al.: Int J Mol Sci. 2017;18(10):2211.

静脈血栓塞栓症

静脈血栓塞栓症に関する注意事項と対処法

乾癬は静脈血栓塞栓症のリスク因子の一つです5)。本剤投与と静脈血栓塞栓症との関係は明らかではないものの、臨床試験において本剤投与群で静脈血栓塞栓症の発現が認められています。静脈血栓塞栓症が疑われる徴候や症状が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう、患者を指導してください。

臨床試験における静脈血栓塞栓症の発現状況

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の統合解析(投与開始から52週まで)において、本剤との関連ありと判断された静脈血栓塞栓は認められませんでしたが、有害事象として、本剤投与群で2例、静脈血栓塞栓症が認められました。プラセボ群及びアプレミラスト群では静脈血栓塞栓は認められませんでした。

なお、国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)の日本人集団及び国内第Ⅲ相オープンラベル試験(IM011-066試験)においては、静脈血栓塞栓は認められませんでした。

5)Hillary T, et al.:Ann Med. 2021;53(1):1076-1083.

横紋筋融解症、ミオパチー

横紋筋融解症、ミオパチーに関する注意事項と対処法

本剤投与との関係は明らかではないものの、臨床試験において本剤投与群で横紋筋融解症が認められています。また、CPK増加がプラセボ群及びアプレミラスト群と比較し本剤投与群で高い傾向でした。
本剤投与開始後は、四肢や全身の筋肉痛、しびれなど、横紋筋融解症、ミオパチーが疑われる症状の有無を定期的に確認してください。

臨床試験における横紋筋融解症、ミオパチーの発現状況

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の統合解析(投与開始から52週まで)において、本剤投与群でCPK増加を伴う軽度な横紋筋融解症の副作用が1例、また、有害事象として、別の1例に横紋筋融解症が認められました。プラセボ群及びアプレミラスト群では横紋筋融解症は認められませんでした。

本剤投与群におけるCPK増加の発現頻度は2.7%(23/842例)であり、プラセボ群1.2%(5/419例)及びアプレミラスト群0.7%(3/422例)より高く、重篤なCPK増加は認められませんでしたが、高度なCPK増加が1例認められました。

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)の日本人部分集団及び国内第Ⅲ相オープンラベル試験(IM011-066試験)の尋常性乾癬患者において、横紋筋融解症、ミオパチーの有害事象は認められませんでしたが、CPK増加が3.4%(4/119例)に認められました。

B型肝炎ウイルスの再活性化

B型肝炎ウイルスの再活性化に関する注意事項と対処法

本剤がウイルス感染を含む特定の感染に対する免疫監視に関与するサイトカインシグナル経路を阻害する薬理作用を有すること、臨床試験において、本剤投与により単純ヘルペスの発現率の増加が認められること等を考慮すると、本剤投与によりB型肝炎ウイルス再活性化が生じる可能性は否定できないと考えられます。そのため、本剤投与前にB型肝炎ウイルス感染の検査を実施してください。

臨床試験におけるB型肝炎ウイルスの再活性化の発現状況

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)の統合解析(投与開始から52週まで)及び投与開始から52週までの国内第Ⅲ相オープンラベル試験(IM011-066試験)において、B型肝炎ウイルスの再活性化は認められませんでした。

詳細は「適正使用ガイド」をご参照ください。

適正使用ガイド

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