乾癬の治療と日常生活
乾癬の治療法
乾癬の治療は、塗り薬、光線療法、飲み薬、注射薬等を患者さんに合わせて選択します。
これらは必ずしも使用する順序が決まっているわけではなく、症状に合わせて単独で使用したり、組み合わせて使用したりします。
塗り薬
塗り薬は、局所療法に分類され、治療の初期に使われるほか、飲み薬等の全身療法と併せて使用することもあります。
ステロイドやビタミンD3の塗り薬、またはそれらの配合剤等があります。
ステロイド
炎症を抑える薬です。強さが5段階に分かれており、症状によって使い分けます。
ビタミンD3
皮膚が過剰に増えてしまう状態を抑える薬です。
芳香族炭化水素受容体(AhR)調節薬
皮膚の炎症を抑制するとともに、皮膚バリア機能を改善する目的で用いられる薬です。
光線療法
光線療法は、塗り薬で十分に効果が得られない場合等に使用します。
また、飲み薬や注射薬と併用することもあります。全身に使用するナローバンドUVB療法やPUVA療法、部分的に使用するエキシマライト/レーザー療法等があります。
ナローバンドUVB療法
光線療法のうち、クリニックや病院等で広く使用されている治療法です。
PUVA療法
光線感受性を高めた状態でUVAという光線を当てる治療法です。光線感受性を高めることで、光線を当てた時に、より皮膚が光に反応しやすくなります。光線感受性を高める際の方法によりますが、治療を行う際には遮光する必要があります。
エキシマライト/レーザー療法
局所的に照射する場合に使用されることが多い治療法です。症状のある部位に部分的に照射することで、不必要な箇所に光線が当たりにくいという特徴があります。
飲み薬
飲み薬は、全身療法に分類される治療法です。
TYK2阻害薬、レチノイド製剤、PDE4阻害薬、免疫抑制剤等を使用します。
チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬
免疫機能を助けるTYK2という物質のはたらきを制御し、免疫がはたらきすぎるのを抑制することで炎症を抑える薬です。
レチノイド製剤
皮膚が過剰に増えることを抑える薬です。
PDE4阻害薬
炎症の原因物質の産生にかかわるPDE4のはたらきを抑え、免疫のバランスを整えることで炎症を抑える薬です。
免疫抑制剤
免疫がはたらきすぎることを抑える薬です。
注射薬
他の全身療法で十分な効果が得られなかった場合等に選択される治療法で、生物学的製剤と呼ばれる薬を使用します。
生物学的製剤は、免疫機能にかかわる部分に作用し、免疫がはたらきすぎることを抑えます。
顆粒球単球吸着除去療法
血液を体外に循環、カラムに通過させ一部の顆粒球・単球が吸着・除去された血液を体に戻す治療法です。
膿疱性乾癬、関節症性乾癬で既存の全身療法で十分な効果が得られなかった場合等に使用します。
ご紹介した乾癬の治療法は、重症度や患者さん個々の状況に合わせて、さまざまな選択が可能です。
ご自身の治療法について医師と相談の上、決めていきましょう。
平田恭信 監修:身近な病気がよくわかる!病気&診療 完全解説 BOOK, p276-279, 医学通信社BOOKS, 2019
小宮根真弓 他 編著:困ったときに役立つ STEP UP 乾癬診療, p98-123, メディカルレビュー社, 2019
浦島利樹 他:新薬と臨牀. 73:1176-1185, 2024
乾癬治療を行う方向けの乾癬に関する解説冊子です。
乾癬の治療をつづける意味
乾癬の経過
乾癬は慢性の疾患であり、寛解と悪化を繰り返します。
治療をやめると症状が悪くなることもあるため、病気や治療について理解し、治療を続けて良い状態を保つことが大切です。
乾癬における慢性経過(未治療の場合のイメージ図)
経過には個人差があり、治療をしないと必ず悪化するというわけではありません。
日本皮膚科学会:皮膚科Q&A. https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/index.html(2026年3月30日参照)
小宮根真弓 他編:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. p81-91, メディカルレビュー社, 2019.
山本俊幸 編 :乾癬・掌蹠膿疱症 病態の理解と治療最前線. p35-40, 中山書店, 2020.
乾癬は“全身性疾患(PSD:Psoriatic Disease)”と呼ばれているのを知っていますか?
乾癬では、肥満、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患などを発症するリスクが高いとされています。そのため、近年 『乾癬は全身性疾患(PSD)』であるという概念が広まりつつあります。
乾癬の皮疹では炎症を起こす物質が作られ、それが血管など体の機能に影響を与えることで合併症につながる可能性があると考えられています。 乾癬の悪化によりおこる全身性の合併症は、治療によってそのリスクを抑えられる可能性があるため、継続することが大切です。
渡部龍 他:内科. 2022;Vol. 129 No, 1:p5-7
中川秀己 編:インフォームドコンセントのための図説シリーズ 乾癬. p29-31, 医薬ジャーナル社, 2015.
山本俊幸 編:乾癬 ・掌蹠膿疱症 病態の理解と治療最前線. p152-167, 中山書店, 2020.
乾癬患者さんのための治療をつづける意味
乾癬の治療を受けている患者さんのために、治療をつづける意味についてご紹介します。
乾癬患者さんのための日常生活のヒント
乾癬患者さんのための感染症予防
乾癬の治療を受けている患者さんが、感染症にかからないために、⽇常⽣活で気をつけたいことをご紹介します。
乾癬患者さんのためのスキンケアと⼊浴
乾癬の治療を受けている患者さんがお肌の状態を悪化させないために、⼊浴時やその後のスキンケアで気をつけたいことをご紹介します。
乾癬患者さんのための⾷事と飲酒
乾癬の治療を受けている患者さんが、普段の⾷⽣活で気をつけたいことをご紹介します。